●売却済●非売品●破棄済 ●EC
1.我々はどこへ行くのか
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大学院修了製作「我々はどこから来たのか」「我々は何者か」「我々はどこへ行くのか」の3部作の内の1作(タイトルはゴーギャンの作品より)。
大学を出て約10年後、引っ越しに伴いこの作品を含めトラック2杯分の作品を捨てたので、写真のみ。
以降、2004年に長女マアヤ、3年後に長男ファイロが生まれ、子育てに追われて、絵の具は長いこと押入れにしまい込んでいた。
イギリス人の夫の実家に帰省中のある日、こんなことがあった。
まだ幼いファイロが、テレビから聴こえてくる彼の知らない言葉について質問をした時のこと。
”Auntie Lou. What's SLAVE? (ルーおばさん、ドレイって何?)“
「お金を貰わないで働かされている人のことよ」と、私の義理の妹。賢い彼女は、どんなことを聞かれても単純明快に即答してくれるのだ。
ところが、それを聞いたファイロは、なんと、“Like Mummy? (お母さんみたいな?)” と言ったのだ。
皆一斉に笑ったが、私の心中は穏やかではなかった。
毎日しぶしぶ家事をこなしている私が、母親の愛情以外に自分の子供に示しているものは何もなかったのだ。そして、物心つき始めた子供に「絵を描くお母さん」のことも知ってほしいと思った。
翌年の2015年の夏は、夫と子供達だけで帰省することになり、その留守番の間に、久しぶりに絵の具の箱を引っ張り出して制作を再開した。私の中のドレイは解放され、とても気分良く絵を描いた。
ヘッディング 1
1993
180×270cm
パネルに油彩
2.ふたり
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玄関の前に、一つだけ赤いチューリップが咲いた。植えた覚えがないから、きっと前の住人が玄関前を手入れしていた名残で、何年も地下で静かに球根を太らせてから咲いたのだと思う。数日して枯れてしまったのを残念そうに眺めるファイロの手を、マアヤが黙って握ってやっていた。
2015
53×46cm F10
キャンバスにアクリル絵の具
3.ファイロ
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私は運が悪いのか、初めての出産の時もその次も、難産の為、緊急帝王切開になり母子ともに危険な状態になってしまった。そのせいか、未だに自分の子供を見ても「こんなに良いものが本当に自分の所に来たのだろうか」という気がして、今ひとつ母親としての実感がわかない。
息子のポートレイトはすぐに描けたが、娘のは足掛け3年も掛かってしまった。描いては消しを繰り返して、述べ9人くらいの娘が成長しながら下地になっている。出来上がったポートレイトを見て、ルネサンス期の肖像画の構図を思い出した。自分の子供をちょっと神聖化しているのだろうか。
2015
33×24cm F4
キャンバスにアクリル絵の具
4.マアヤ
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2015〜2017
33×24cm F4
キャンバスにアクリル絵の具
5.ファイロ
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マアヤが小学校3年生の時、「弟」を描いた絵が国立市のコンテストで賞を貰い、居ても立ってもいられない気持ちがして、すぐに全く同じ構図で描いた。全く大人気ないと思う。
「弟」Mahya painted
2015
91×73cm F30
キャンバスにアクリル絵の具
6.部屋
今の中古の家に越してきた時、何もなかったリビングはとても広く感じた。ベランダのテントを赤と白のストライプにすることだけを決めていた。
2016
61×73cm F20
キャンバスにアクリル絵の具
7.マアヤ
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モデルになってくれたマアヤ。心の内が複雑な自分の娘のことを考えながら描くうちに、普段苦手な色も自然に使うことができた気がする。娘を理解してあげているつもりでいて実は何もわかっていないような、私自身の心境がよく出ていると思う。
2016
53.0×45.5cm F10
キャンバスにアクリル絵の具
8.部屋
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どうしても欲しかった古い照明器具を、結局手に入れることができなかった。大変悔しい思いをして、絵に描いてしまった。そうしたら、もうなんとなく気が済んだ。
2016 2020加筆
45.5×53.0cm F10
キャンバスにアクリル絵の具
9.部屋
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カーテンが邪魔だったので何気なく束ねた時に描いた。布のひだはいつも目を引くが、良いひだを出そうと何度いじくっても上手くいかない。
2016
72.7×60.6cm F20
キャンバスにアクリル絵の具
10.小さなハンナ
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マアヤとファイロと、その従兄弟たちの6人がアイスクリームを食べている風景。初めは一人一人を描いていたが、いつの間にか姪っ子のハンナだけになってしまった。末っ子で、皆に可愛がられていたハンナに弟が生まれ、突然自分が世界の中心ではなくなってしまった。従兄弟たちとアイスクリームを食べる瞬間の幸せと、複雑な心境がないまぜの、小さなハンナのことをよく考える。
2016 2020加筆
80.3×100cm F40
キャンバスにアクリル絵の具
11.部屋
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玄関に陽が差し込んで、逆に部屋が暗くなる時間帯が気に入っている。どこの子供たちも外で遊んでいて、私は仕事の前にお茶を飲む。
2017
46×53cm F10
キャンバスにアクリル絵の具
12.マアヤ
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マアヤ。神経質に、白い所がもうほとんどない爪をいつまでも切り続けるので、爪切りを取り上げてしまった。話を聞いてあげたら良かっただけかもしれない。
2017 2020加筆
73×61cm F20
キャンバスにアクリル絵の具
13.左手
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脚立に乗って大作に臨む、どこかの国の女性画家の写真を見た。手すりに掛けている、描いていない方の左手にも満ち満ちた自信が表れているようだった。
2017
38×46cm F8
キャンバスにアクリル絵の具
14.はさみ
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私の愛用しているハサミがいつもなくなる。誰かしらが使って元に戻さないのだ。ちょうど良いケースを見つけて入れようとしたら、大きさが合わずに入らなかった。
2017
38×46cm F8
キャンバスにアクリル絵の具
15.黄色いタイツ
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小さな写真の、片隅の人物の黄色いタイツが気になって描いたが、どこかの知らない人だったので最後には顔が無くなってしまった。
2017
50×61cm F12
キャンバスにアクリル絵の具
16.「a’」のマアヤ
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小さめの人物画「a」を描くつもりで、大きく全体を描くことに取り組んでみた習「a’」。
2017
91.0×72.7cm F30
キャンバスにアクリル絵の具
17.「a”」のマアヤ
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「a’」を切り抜く感じで描いてみる習作「a’’」。
2017 2020加筆
46×53cm F10
キャンバスにアクリル絵の具
18.「a」のマアヤ
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「a’」と「a’’」を元に、一気に描いて「a」の完成。
2017
46×53cm
キャンバスにアクリル絵の具
19.ニンテンドー
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子供達がニンテンドーDSゲームに夢中になっている。何か、私のわからない言語で会話をしている。
2017 2020加筆
45.5×53.5cm F10
キャンバスにアクリル絵の具
20.カーレース
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ファイロ。ミニカーが走るコースを試行錯誤して作るうちに、どんどん高いところに上がる。作ることはいつも応援したい。
2017 2020加筆
60.6×72.7 F20
キャンバスにアクリル絵の具
21.椅子
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気に入っている籐の椅子を描いた。うちに来た時は、曲木が折れ、相当破損していたが、修理して使っている。子供はいつもわざと体を揺すってギシギシ鳴らす。壊れたら、また直そうと思っている。
2017
24×33cm F4
キャンバスにアクリル絵の具
22.マアヤ
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13歳になったマアヤが、タブレットでボカロを聴いている。テーブルを挟んで向こう側に座る娘が、どこか遠くにいるようで、少し寂しい。
2017
66×53cm F15
キャンバスにアクリル絵の具
23.包んだ菓子
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「食べたいものは今食べて、言いたいことは明日言え」とは、先日逝去した伯母の教えである。言いたいことも包んで置いておけば次の日には大抵どうでも良くなることが多い。
2018
33×24cm F4
キャンバスにアクリル絵の具
24.部屋
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子供達が出しっぱなしにしたおもちゃや漫画本やらを片付けるのにはイライラさせられる。私が子供の頃、母が『出したところに戻したら?』と、常にぼやいてた。今になって私も同じことを言っているのに気がついて苦笑する。
2018 2020加筆
33.3×24.2cm F4
キャンバスにアクリル絵の具
25.秋葉原
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秋葉原に行ってみた。名探偵コナンのタオルをゲットしようといつもまでもクレーンゲームに投資している青年がいて、やっと手に入ったらすごく嬉しそうだったので拍手してやったら丁寧にお辞儀をした。彼が本当に欲しいものはなんだろうか
2018
33×24cm F4
キャンバスにアクリル絵の具
26.シッピングモールアイスクリーム
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ショッピングモールで水色のソフトクリームを注文したマアヤ。水色がどんどん溶けてくる。水色のソフトクリームなんて、私はこれから先一生食べないと思う。子供の頃には戻れないのだ。良かったと思う。
2018
46×38cm F8
キャンバスにアクリル絵の具
27.子供は判ってくれない 1
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しぶしぶダンスシューズを履くファイロ。親としては子供に良かれと思ってあれこれと習い事をさせる。母が私に絵を描かせてくれたことが生涯私の支えとなってくれているように、何かこれというものを見つけて欲しいのだが。子供はわかってくれない。
2018
46×38cm F8
キャンバスにアクリル絵の具
28.子供は判ってくれない 2
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2018
24×33cm(F4)
キャンバスにアクリル絵の具
29.りぼんの付録ショルダーバッグ
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小学生の時に初めて買った『りぼん』の付録のチープなショルダーバッグを、未だ後生大事に使っているマアヤ。半分大人が捨てきれない子供の部分を肩にかけている。
2018 2020加筆
45.5×38.0cm F8
キャンバスにアクリル絵の具
30.レインボーストーブ
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本当は上に乗せて焼き芋がやりたいばっかりに、石油ストーブを買ってしまった罪悪感からホイルに包んで並べたさつま芋を、先ず描いた。
2018
38×46cm F8
キャンバスにアクリル絵の具
31.うごメモ
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ニンテンドーDSでずっと遊んでいるから「もうゲームをやめなさい」と言うと「うごメモだよ」と言ってくる。覗いてみると、なんと描いた絵が動いている。「それなら、まあ、よし」となってしまう。
2018
53×46cm F10
キャンバスにアクリル絵の具
32.キン斗雲
ドラゴンボールを読みながら「私、キントウンに乗れるかな」と聞くマアヤ。心の清い者しか乗れないのだったっけ。「乗れるさ」と言ったら「じゃお母さんは乗れるかな」と聞いてきた。どうも落ちるところしか想像できない。
2018
80.3×65.2cm F25
キャンバスにアクリル絵の具
33.箱
宅配便が届く。中身は多分自分で注文した洗剤かなにかだとわかっているが、開けてしまえば「なーんだ、やっぱり」となるので、「もしかしたら何か素敵なものが・・・」と想像するためにしばらく開けないでおいておく。この物欲をなんとかしたい。
34.ファイロ
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2018
33.3×24.2cm F4
キャンバスにアクリル絵の具
モデルになってくれたファイロ。散髪をしたから絵になりにくいと思った。ふさふさとした、情緒を語るような髪の毛が顔の周りに必要だ。
2018
33×24cm F4
キャンバスにアクリル絵の具
35.マアヤと友達
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2年前、車の往来が激しいうちの前を、どこから来たのか小さな石亀が歩いていたのでうちで飼うことにした。冷たい表情をして学校から帰ってくるマアヤの表情がこの亀を見て一気に解凍する。この頃では名前を呼べばカタカタと走ってくる。
2018 2020加筆
91.0×72.7cm F30
キャンバスにアクリル絵の具
36.マアヤ
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モデルになってくれたマアヤ。最近では「ねえ、まだー?まだなのー?」と文句ばかり言う。あの、従順な小さな女の子はもういない。
2018
72.7×60.6cm F20
キャンバスにアクリル絵の具
37.A≠B/4のマアヤ
2018
91×73cm
キャンバスにアクリル絵の具
WIP
38. 4/4のマアヤ
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ベッドの横に並行して30号を4枚組み立ててみたら本棚が完全にふさがってしまい、「『ケロロ軍曹』が出せない」とフィアロが文句を言ってきた。やはりここでは狭くて描けないな、と片付けようとしたら「お母さん、そんなに大きな絵を描くの?すごいね」とファイロ。それを聞いて「お母さん」は俄然やる気が出でしまった。
今年の夏も待望の留守番がやってきたわけで、家族はイギリスへ。リビングで開いている英会話教室も夏休みになり、家にはロッキーと私だけ。時々「遊んでくれ」となついてくるロッキーを誤って蹴飛ばしながら、手を伸ばしてやっと届くサイズの絵と格闘する。掃除も洗濯もなし、食事なんか作らない。つかの間の、「絵を描くお母さん」の日々を満喫する。
2018
182×145cm F30x4枚
キャンバスにアクリル絵の具
結局「逆もまた真なり、ではなかった」ので、振り出しに戻して、「良く描けたなら分割しても、それぞれが良い作品であるはずだ」ったことを思い出してバラバラにしてみた。そんなに悪くなかった。1/4をそれぞれ独立して飾っても見栄えが良いように縁を赤く塗った。
39.ハンモック
我が家のリビングには元々ソファがない代わりにハンモックがある。子供達を入れておけば床の掃除ができるし、使わないときは片側に畳んで吊るしておけば部屋が広く使えるので大変重宝している。
2018
53×46cm F10
キャンバスにアクリル絵の具
40.マアヤの椅子
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私の夏休みも終わる。椅子も帰ってくる人を待っている。
2018
33×24cm F4
キャンバスにアクリル絵の具
41.ファイロの椅子
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2018
33×24cm
キャンバスにアクリル絵の具
WIP
42. jet lag sleeping
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時差ぼけで、昼間にいつまでも眠り続けるマアヤ。夢の中ではまだ帰ってきていないのだろうと思う。
2018
38×46cm F8
キャンバスにアクリル絵の具
43. ヨガハンモック
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天井の梁に吊るされたヨガハンモックのひだを、ぼんやりとベッドから飽きずに眺める。
2018
31.8×41.0cm(F6)
キャンバスにアクリル絵の具
44. ヨガハンモック
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2018
31.8×41.0cm F6
キャンバスにアクリル絵の具
45. jet lag sleeping 1〜4
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昼間の睡魔と戦うマアヤに、「もうすぐスペースXのロケット旅客機が地球の反対側でも30分で連れて行ってくれるようになるらしいよ」と言ったら、「それいいね」と言いながら眠りに落ちていった。でも楽しい事は、それを待っている時間が一番楽しいのだから、目的地に着くまでに時間がかかった方が良いのではないか、とも思う。
2018
各80.3×100cm
F40x4枚セット
キャンバスにアクリル絵の具